第4回:現場の抵抗感、期待に変えるヒント
システムへの抵抗感はなぜ生まれる?現場の「使いたくない」を「使いたい」に変える具体的なヒントとアプローチ。
第4回:現場の「抵抗感」を「期待感」に変えるヒント
前回は、システム導入を阻む「現場の壁」について掘り下げました。高齢化、協力業者の協力、そして人手不足と若手の定着率の低さ。これらの課題は、単に「システムを使えない」のではなく、「システムを使いたくない」「使いこなす余裕がない」という、より深い心理的な抵抗感に繋がっています。
では、この「抵抗感」をどうすれば「期待感」へと変え、現場全体でシステム導入を進めることができるでしょうか?
鍵となるのは、「現場のメリットを明確にする」ことです。
人は、自分にとって何らかのメリットがあると分かれば、積極的に行動を起こすものです。「システムを入れると会社が儲かる」だけでは、現場のモチベーションは上がりません。「システムを使うことで、自分たちの仕事がどう変わるのか?」「どんな良いことがあるのか?」を具体的に伝えることが重要です。
例えば、
「面倒な事務作業が減って、早く帰れるようになる」: 手書きの報告書作成や写真整理に追われる時間を、システムが肩代わりしてくれる。これなら、残業を減らしてプライベートの時間を確保できる、という具体的なメリットが伝わります。
「探す時間がなくなり、ストレスが減る」: 必要な情報がすぐに見つかる。過去の履歴も一瞬でたどれる。探し物のイライラから解放され、より本質的な業務に集中できるようになる、という改善は、現場にとって大きな魅力です。
「伝達ミスが減り、手戻りがなくなる」: 情報がデジタルで共有されることで、言った・言わないのトラブルが減り、手戻りのリスクが低減します。これは、職人さんにとっても、監督にとっても、無駄な作業をなくし、効率的に仕事を進められるというメリットに繋がります。
「若手が働きやすい環境になる」: 一報、若手は生まれたときからインターネットやデジタルデバイスが身の回りにある環境で育ち、それらの利用に慣れ親しんでいる世代のため、システム化された環境は馴染みやすいものです。新しい技術を学ぶことでスキルアップにも繋がり、彼らの定着率向上にも寄与する可能性を伝えます。
もちろん、いきなり全てをデジタル化するのは難しいかもしれません。まずは、「現場が最も手間だと感じている作業」に焦点を当て、それを解決するようなシンプルな機能から導入を検討するのも一つの手です。例えば、写真管理機能だけでも、現場の負担は大きく軽減されるはずです。要はどのようにすれば受け入れてもらえるかを考えていくのが大切です。
次回は、システムの選び方と、導入後の定着に向けた具体的なステップについて考えていきます。